今回の9月の桧原湖での試合としての攻略のキーは 『ベイトフィッシュ』 『300g以上600g未満のスモールマウスバス』 『ターンオーバー』 『サスペンド攻略』 であると私は思い作戦を立てる事にした。
試合初日、愛艇であるSHINGO専用のアルミボート(マーブル迷彩仕様のニューファイブZZ)で『桧原湖を一周してリミット達成、その後はシャロー勝負作戦』を慣行した。早稲沢沖と糠塚島の間にある張り出しのフラット、糠島北、大川沖で4本のキーパーをキャッチし、釣れるサイズと安心感からラインは東レのスーパーフィネスの3,5ポンドから3ポンドでもいいかなと思いながら一気に南に下りながら馬の首でスピナーベイトで最大の760gのスモールをキャッチし、清水沢、京ヶ森で入れ替えをして小鷹森をチェックして帰着。初日4位。
二日目も同じほぼルートで周り、糠島北、大川沖でリミットメイクをした「いいサイズ(500g)が混ざるようになったぞ」そして南下し馬の首、月島でクランクを引き倒し600gのスモールを1本キャッチし「ラッキー、今日も600gが入った」そして京ヶ森で入れ替えをしながらワカサギボールに付くスモールマウスバスの釣り方をイロイロ試したり、シャローをクランク流して500g超えるスモールの突き上げるバイトをフッキングに持ち込み2本もキャッチしたりとラッキーも起こりウエイン。予選を1位で通過。
「予選通過1位?」予想していないし心の準備もできていないまま、何度目かのチャンスが訪れた。この時、単なるキーパー取りで展開していたパターンがキーになるとは…。しかし、エリアも水深も日替わりで安定しないミノー、シャットでのトリックスター釣り(1998年の野尻湖戦を参照)と名付けた釣り方が再度、日の目を見るとはこれまた因果なモノである。
このトリックスター釣りとは、ベイトフィッシュ(ワカサギボール)に付いたスモールマウスバス(ラージにも可)を釣る方法である。スモールマウスバスは、まるで自分の牧場の番犬のごとく自分達のワカサギボールを守っているかの行動を暫し見受けられる。これは安定して捕食するための行動でもあり習性でもあると思う。これを利用した釣りがトリックスター釣りでもある。
今回は水深6m〜7mのエリアで4m〜5mにできる(スモールにより形成される)ワカサギボールに付く(守る)スモールマウスバスにトリックを仕掛けて狩っていくのである。
そこで、これが成立するためのワカサギボール(画像)を見付けなくては話にならない。見付けたらトリック用のトリックスター(騒がし者、イタズラ者)となるもモノ(ルアー)を使いスモールマウスバスを苛立たせて釣るのである。ちなみに野尻湖では小型クランクでしたが、桧原湖はよりシルエットもリアルなミノー(水深2m〜3mタイプ)、シャット(ディープタイプ)、その他で水深6m〜7mのエリアで4m〜5mまで浮かせて釣るのである。
ワカサギボールの上層部に掠らせて群れから逸れたベイトフィッシュを演じさせてバイトに持ち込むようにしてみました(そのトリックのやり方も前日に見付け確信しましたが…)。きっとスモールマウスバスからは自分の牧場のベイトフィッシュが勝手にパニックになり逃げ出そうと映るのか、「逃げるなら食うか」というスイッチが入り追いかけてしまい、結果的に食い上げるようなバイトになると私は考えています。欠点は2、3匹釣るとバイトしにくくなるのと、周りに釣り人がいるとプレッシャーとトリックができにくいのでバイトがし難いと言う点である…。
『ペンション・マーベリック』に帰りタックルセットを再考しライン巻き替えとフック交換を全て行い、万全を期して早寝しようとしましたが全く寝る事ができませんでした。
ウトウトするがハッとなって目が覚めるを繰り返す。ここまで体調が悪いのに寝れないならボートの横で準備しようと起きて時計を見ると4時35分。何気に目覚まし機能の時間を確認するとセットをするのを忘れていました。
「目覚まし時計もかけないで…もし寝過ごしていたら…」
そして、慌しく準備をして会場に向かった。
心臓が痛い程のプレッシャーを感じながら、1番でスタートをしていきました。最終日はバスマガジンのK氏が別船から追いかけて私の釣りの一部始終を見守って(監視)頂きながらの釣りである。
朝一は、糠塚島の北エリアに入る。曇りと南風の関係でベイトとスモールが理想的な魚探の画面が何個も何個も映した。
「これならスイッチが入るぞ・・・たぶん」
と思い4周程ワカサギボールにトリックを仕掛けると突然スイッチが入り50分程でリミットメイクを達成した。ウエイトは2200g前後。
すぐに気になる大川沖エリアに移動して魚探を見ると
「これまたいい画像だ」
すると奇跡的に600g台、500g台をキャッチした時点で叫び声を上げていました。
この瞬間に『優勝』が現実味を帯びてウキウキしてきました。
「これで安心してはダメだ…」
にやけた顔でベイトを見ながら釣りをして何気にライブウエルを覗くと600g台と400g台が横になっていた。
「うぉー・・・有り得ない・・・」
一気に私はパニックになりました。時間は午前10時前である。帰着できればと真剣に思いました。
とりあえず早稲沢沖に移動しチェックするも良い画面がなく釣れない。困惑し振り返ると4、5艇の取材艇が私を取り囲んでいました。
「千載一遇のチャンスを、このままで終わりたくない。移動しランガンして獲り入れ替えてやる」
そのまま取材艇を引き連れて行動を共にしながらの移動は異様であったと思う。
「2本入れ替えないとお立ち台もないぞ…」
という恐怖感も重なり更にパニックになりながらも馬の首、月島のシャローエリアでスピナーベイト、クランクを巻き倒しながら南に下ったが、前日と打って変わってワンバイトのみである。そのまま京ヶ森まで下り前日までのお助け場に入るもベイトが6m〜7mラインから消えて、8m前後に移動していた。
「これじゃダメだ…」
時間も11時過ぎである。ライブウエルを見ると2匹は完全に死ぬ寸前である。
「絶望的だ…」
自暴自棄になりながら一気に朝のエリアの大川沖に戻るもノンキーが2本釣れただけである。
「また、チャンスを逃すのか…」
何も考えないで糠塚島沖に移動した先にベイトが映ったので試しにキャストし何気にジャークを入れるとゴーンと引ったくるバイトが来た。祈る思いでランディングすると500gのスモールで即入れ替えをし「あと一本、あと一本、あと一本、あと…」呪文のように繰り返してキャストするとゴーンと同サイズがバイトした。
「奇跡だ」
かなり迷いましたが600g台をこのまま殺すよりもと思い入れ替える事にした。
「とにかく奇跡だ…」
気が付くと取材船も2艇に減り、最後まで見届けたのはK氏と某バサー誌である。そして最後の劇的な出来事の一部始終を目撃してカメラに収めてもらっていた。時間も11時45分。その後は何もなく(何も手に付かない)1番で帰着した。
やるだけはやったが予想ウエイトは2300g前後かなと思いウエインを待つ間は2位の選手が3000gは釣っている話が飛びかい「優勝はSHINGOじゃないぞ」という声も聞こえてきました。そんな中を初めてのボートでのウエインで多くのバスフィッシングのファンの方々、取材陣の前で派手に行われるウエインショーは最高に気持ちがいい、快感と言ってもいい。
「ウエイトは2500g!」
とコールされ会場が沸く(ん?予想以上にあったなぁ…)最後に2位の選手が「3000g」とコールされ会場がさらに沸く。
「やっぱり、ダメか…良くて2位かな、3位まで落ちたかな…」
そんな事を考えながら表彰を待った。僅差のため表彰式まで結果が分からないという状況でもあった。結果は1ポイント差で優勝できました(笑)。
「奇跡だ…」
誰もやらない釣り方で、孤独にではあるがストロングに釣り勝つ事ができてSHINGOらしい勝ち方の片鱗が見えた気がする。
最後に、こんなSHINGOを応援しサポートして頂いている皆様に感謝致します。
SHINGO